
2018年度から、予報電文(IPF法)に加え新たにリアルタイム電文(PLUM法)の2配信が開始されます。
予報電文(IPF法)は、地震のP波(波動)を震度計が感知して震源地の予想を行い緊急地震速報端末で推定震度・猶予秒数を割り出します。リアルタイム電文(PLUM法)は、緊急地震速報端末の30km以内の震度計が条件を満たすと緊急地震端末が発報します。これらを合わせてハイブリット法と呼びます。
ハイブリット法では、予報電文(IPF法)とリアルタイム電文(PLUM法)のどちらか大きい方方の電文を端末が発報します。
緊急地震速報とは、気象庁が2007年10月に開始した地震情報です。
従来の地震情報の発表は地震発生から約3~4分後でした。
これでは、地震による被害を軽減(減災)させることができませんでした。
そこで、新たに開始されたのがこの緊急地震速報です。
これは、地震の発生直後に、震源に近い地震観測点(地震計)でとらえた観測データを解析して、震源や地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定し、これに基づいて各地への地震の到達時刻や震度を予測します。
この予測値をもとに、地震が到達する前に地震情報を届け、被害を防止・軽減しようというのが緊急地震速報です。
地震の波には速度の速いP波(初期微動 秒速約6km)と速度の遅いS波(主要動 秒速約4km)があります。
緊急地震速報は、この速度の違いを利用します。
日本全土には、気象庁と防災科学研究所がリアルタイムで観測を行っている地震観測点(地震計)が約1000か所設置されています。
速度の速いP波を地震計がとらえ、地震で大きな被害をもたらす速度の遅いS波が到達する前に情報を届けます。
PLUM法とは、地震のS波を端末設置周辺半径30km以内の気象庁観測点が感知すると最大震度の発報を行います。
この緊急地震速報には、一般向けの緊急地震速報(警報)と高度利用者向けの緊急地震速報(予報)があります。
一般向けは、テレビ、ラジオ、携帯電話など、不特定多数向けの地震情報です。
これは、2か所以上の地震計が震度5弱以上を感知すると放送されますが、発表する内容は、地震が発生した場所や震度4以上の揺れが予測される大まかな地域名だけです。
しかも、具体的な推定震度と猶予時間は発表されません。
一方、高度利用者向けは、1か所の地震計でもマグニチュード3.5以上、もしくは震度3以上を感知すると情報が発信されます。
また、推定震度と猶予秒数を詳しく知ることができ、機器の設置場所に限定した地震情報が得られます。
精度が高い分、誤報の可能性もあります。ただし、誤報の場合はキャンセル情報が発信されますので安心です。
そういった、きめ細かい情報を入手することが可能なのが高度利用者向けです。
なにより、両者の大きな違いはその情報の提供速度です。
以下に、実際に発生した地震での提供時間を掲載しています。
これを見ると、高度利用者向けが圧倒的に速いのを理解していただけるでしょう。
実際に発生した地震での提供時間 | ||||
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地震発生日時 | 震央地名 | マグニチュード | 提供時間(秒) | |
一般向け緊急地震速報 | 高度利用者向け 緊急地震速報 |
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平成23年03月11日 14時46分 | 三陸沖 | 9.0 | 8.6 | 5.4 |
平成23年04月07日 23時32分 | 宮城県沖 | 7.1 | 7.4 | 3.3 |
平成23年04月11日 17時16分 | 福島県浜通り | 7.0 | 6.3 | 3.2 |
平成23年11月24日 19時25分 | 浦河沖 | 6.2 | 14.9 | 3.2 |
(気象庁のデータより一部抜粋)